「答えのないゲーム」を楽しむ思考技術

「答えのないゲーム」を楽しむ思考技術
著者 高松智史
出版社 実業之日本社
発売日 2022年 12月 08日(木)

推薦者:西村佳子

西村佳子

推薦者・西村佳子について

民間の歯科医院に勤務している歯科医師です。
ビジョナリー読書クラブに入会して、今までとは違い、アウトプットを意識して読書をするようになりました。自己啓発、生き方、心理学、子育ての分野に興味があります。 ビジョナリー読書会では読書を切り口にしてメンバーの方々のいろんな視点、考え方、思いに出会えるのでとても楽しいです。そんなビジョナリー読書会をいろんな方に知っていただきたいです。

おすすめポイント

私たちはこれまで義務教育、部活、受験、就職活動と「答えのあるゲーム」で試されてきて、「答えのあるゲーム」の戦い方のスタイルが身についてしまっています。しかし今までのような「こうしたら、正解」が通用しない時代はすでに始まっています。

この本では、人生やビジネスの場における「答えのないゲーム」に勝つだけではなく楽しむための技術、つまり思考技術を伝授しています。

  • 答えのないゲームを戦う3ルール「プロセスを大事にし、選択肢を2つ以上作り、健やかに議論をする」
  • 答えのないゲームに圧勝するための3つの武器「示唆、B○条件、ゲームのルールを考えるゲーム」
  • 世の中の当たり前に流されない5つのゲーム感覚(ルールを見極める5つのポイント)

「考える力」を習得するために「暗記してください」という項目が意外と多いです。「考える」ためには「理解する」ことこそ重要なのでは、と意外に思っていたのが次の引用箇所で腑に落ちました。紹介させてください。

何かを習得したい時に意識してほしいのが、「理解ドリブンVS 暗記ドリブン」です。
「理解ドリブン」というのは、その名の通り、「理解」したらその学習を終了で、その「理解」をベースに応用していく技術です。
一方の「暗記ドリブン」は、その名の通り「暗記」したらその学習は終了で、その「暗記」をベースに応用していく技術です。
(中略)
このように、気をつけなくても自分で間違いに気づきやすい物事に取り組む際は「理解ドリブン」で構いません。
しかし、間違いに気づけないような物事を学ぶときは、「暗記ドリブンで行こうや。理解ドリブンではなく」と叫んでから取り組みましょう。
その最たる例が「考える力」です。
それこそ「フェルミ推定」などもそうですが、目に見えない答えが無数に出せる物事を学ぶときは、圧倒的に「暗記ドリブン」が効果を発揮する領域です。
仮に「考える力」がどのようなものか理解しその力を使ったとしても、答えがないので正しいかどうかは判断できず、自分自身では「間違い」に気づけません。
仮に横に僕が寄り添っていれば、「使い方が違うよ」と指摘してあげられるかもしれませんが、当然そうはいきません。
その時、僕の代わりをしてくれるのが「暗記」です。

著者は冒頭で「思考技術」のことを『「考える力」はスキルであり、技術。だから、身につけることができるよ。』と書いています。考える力は特別な人だけが持っているわけではないのです。つまり正しいやり方と訓練をすれば誰でも考えることができるようになるということです。

読後感

日々の生活の中、ともすれば思考停止に陥りがちな自分に悩んでいました。この本と出会って、これまでの自分は正解が存在するという前提で答えを求めていたことに気づきました。「答えのないゲーム」で自らを鍛えてこなかったのです。「考える力」をスキルとして身につけるためにまずは暗記。これならできそうです。そして使ってみる。これはなかなか難しいと思いますが、実際早く使ってみたい!!と思うぐらいに徹底的にインプットしてみようという気持ちになっています。

こんな人におすすめ

思考停止になりたくない、自分の頭を使って考えたいすべての方におすすめいたします。